ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは?

今や日本人の国民病ともいわれる『ロコモティブシンドローム』とは、
「運動器の低下により移動機能の低下した状態」を意味します。

英語で移動することを表す「ロコモーション(locomotion)」と、移動能力があることを表す「ロコモティブ(locomotive)」を組み合わせて作られた言葉で、移動するための能力が不足したり、衰えたりした状態のことで、通常は略して「ロコモ」と呼ばれています。

移動機能とは?

移動機能の低下とは、どういった状態なのでしょうか?
立ちあがる、歩く、座る、何かしらの作業をする、つまり私たちの身体を動かすための機能が、運動器です。

運動器は骨や、関節、筋肉、そして神経などで成り立っており、これらがうまく機能しなくなると、私たちの身体はスムーズに立ったり、歩いたりという運動ができなくなります。要支援、要介護へと繋がっていく、大きな要因となります。


ロコモの原因とは?

では、どうしてこのロコモが起きるのでしょうか。私たちの平均寿命は年々長くなり、現在日本は世界に先駆けての、高齢者社会となりました。やがて50歳を過ぎたころから「運動器障害」は増え始めますが、その先も長きにわたって私たちは日々、何かしらの運動を続けていかねばなりません。つまり、運動器にかかる負担は歳をとるごとに、大きくなっていくのです。

この「運動器障害」には、運動器自体の疾患によるものと、加齢に伴って起こる運動器の機能不全によるものとがあります。

運動器自体の疾患

骨・関節・筋肉の病気によって機能が低下し、ロコモになってしまう3大原因と言われるのが、
骨粗鬆症、変形性関節症、変形性脊椎症です。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は骨密度が低下する病気です。骨がもろくなってしまうので、軽く転んだだけで骨折するリスクが高くなります。安静にする期間が長引いてしまうと、寝たきりとなるケースも少なくありません。特に閉経後の女性がかかりやすいと言われています。


変形性関節症

加齢やO脚などの体の歪みによって、股関節や膝関節の軟骨がすり減ってしまい、痛みを生じます。動くと痛みが出るので、動きたがらなくなってしまいます。


変形性脊椎症

背骨自体の変形や、椎間板ヘルニアなどにより、神経が圧迫されやすくなります。また脊柱の中を通っている神経管が狭くなり、神経を圧迫する脊柱管狭窄症も、背中を使う動作で痛みや痺れが生じるので、動きたがらなくなります。


加齢による運動器の機能不全

加齢により私たちの身体は、自然と筋肉や筋力が低下します。特に下半身の筋肉低下によって、歩行などの移動機能が低下し、動きづらくなっていきます。また、バランス能力や、神経伝達機能も低下をしていきます。筋力の衰えにバランス能力の衰えが伴うと、ロコモになる可能性が高くなります。

ロコモ症状の進行

では、ロコモはどのように進行するのでしょうか。その過程を考えてみましょう。

1.筋力の衰え

筋力が衰えると疲れやすくなり、動きたくなくなります。自然と運動量が落ち、さらに筋力が低下する、この負のスパイラルを繰り返すことで、骨や関節の病気や事故が増えることになります。


2.バランス能力の低下

筋力が低下すると、バランスがとりづらくなり、関節などに痛みを生じます。運動不足によって、関節の可動域が狭くなってしまいます。


3.歩行障害

痛みへの恐怖、バランス能力の低下による不安、関節可動域の減少、こういった要因が歩幅を小さく歩きづらくさせていき、歩く機会も減ってしまいます。やがて、引きこもりがちになり、生活や社会活動の範囲が狭まっていきます。


4.寝たきりになる

やがて屋内での移動も困難になってくると、転倒や病気になるリスクが高まります。そのため、立ち上がりや歩行が一人では難しくなり、やがては寝たきり状態に陥りやすくなります。

ロコモ予防とは?

私たちは日常生活や運動をすることによって、さまざまな身体の機能を使い、移動能力を維持しています。では、私たちができるロコモ予防とは、一体どのようなものでしょうか?それは、まず運動不足にならないことです。

日常生活でできる予防を考える

ふだんの日常生活の中で、少しでも体を動かそうという意識を持つこと、これがロコモ予防の一歩となります。いつもより少し歩幅を広く早歩きをする、できるだけ階段を使うようにする、軽いストレッチをする、地域の体操イベントなどに参加する、など日常生活の中に、いつもより少し負荷のある運動を取り入れることが、ロコモ予防となります。

また、バランス能力を維持するには、椅子を使った「片脚立ち」と「スクワット」が、大変効果的です。大事なのは「決して無理をしない」ことです。その日の体調に合わせ、自分のペースで行う、しかし「常に身体を動かすことを意識する」ことが重要です。

私たちの平均寿命と健康寿命には、平均10年ほどの差があります。健康寿命とは、日常生活が健康に送れる期間のことです。要支援・要介護といった状態にならないためには、移動機能の低下によるけがや事故を防ぎ、この健康寿命をできるだけ長く維持しすることが大切になります。それこそがロコモ対策と言えるでしょう。

今日の現状

現在、新型コロナの感染予防のため、外出を自粛されている方が多いと思います。また足腰に痛みを抱えながら受診を控えておられる方や、リハビリやディサービスなどを控える方もいらっしゃるでしょう。長引く外出自粛によって運動機能の低下は、ロコモになるリスクを高めることになります。実際、日本臨床整形外科学会の調査では、高齢者を中心に新型コロナ自粛後の運動機能の低下が増加していることがわかります。

しかし、運動の必要性を十分理解してはいても、やはり運動不足になってしまうのが、現在の状況です。もし新型コロナに感染してしまったら? もしロコモになってしまったら? そんな不安から外出を控え、人と会う機会が減り、不安で孤独な毎日を過ごしておられる高齢者の方は、少なくありません。

こういった不安に応え、安心安全を与えてくれるのが「サービス付き高齢者向け住宅」です。同年代の入居者たち同士のコミュニケーションは、不安や孤独に陥ることなく、適度に自立を保った快適な「生活」を保障します。もちろん健康維持に役立つ機能訓練体操などが、専門家による指導の下で行われています。また栄養バランスを考えた食事管理、専門家による「安否確認」「生活相談」など、心身のケアをしっかりとサポートします。「不安のない日常生活」を長く楽しむ、そんな新しい暮らしを、サービス付き高齢者向け住宅はご提供します。