親の介護はまだ想像できない、そんな方が多いかも知れません。
しかし、今まで元気に生活できていた親が、ある日つまずいて転倒、そして足を骨折したり、脳梗塞などで入院、そして麻痺が残ってしまったり、あるいは認知症が進行して一人での生活が不安になったりした場合、介護は待ったなしにやってきます。まず一人でトイレに行けない、お風呂に入れない、買い物に行けないとなれば、否応なしに誰かの手助けが必要です。
まだまだ先の話と思っていても、親の介護の問題は突然やって来る嵐のようなものです。では、その嵐にどう対応すればよいのでしょうか。

介護の相談窓口を知る

まず介護が必要になったら、出来るだけ早く市区町村の介護保険の担当窓口の電話番号と、「地域包括支援センター」の連絡先を調べましょう。
両方とも週末や夜間は連絡が付かないので、平日に連絡を取ります。必ず親が住んでいる地域の窓口に、相談する必要があります。


市町村の介護保険窓口

市町村の介護保険の窓口は、「介護保険課」「高齢福祉課」など名称は異なっていますが、「要支援・要介護認定」を申請する窓口となります。さまざまな相談や悩みにも応えてくれます。


地域包括センター

地域包括支援センターとは、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で生活できるように、介護・医療・保健・福祉といったさまざまな側面を包括的に支える「総合相談窓口」です。
専門知識を持った職員が相談に応じてくれ、介護保険の申請窓口も担っています。地域包括支援センターにはあらかじめ連絡をして、状況などを説明しておいてから訪問するのが良いでしょう。

要介護認定を申請する

介護保険サービスを利用するには、まず「要介護認定」をして認めてもらわねばなりません。
「要介護認定」の申請は、親の住まいのある市町村の役所の介護保険窓口で行います。申請書は本人や家族、または地域包括支援センターや、介護保険サービスのプランを立てるケアマネージャーに代行してもらうこともできます。


この申請が認められるには通常1か月ほどかかりますが、認定されれば申請した日にさかのぼって、介護保険サービスを受けることができます。ですからできるだけ早く地域包括支援センターにはコンタクトを取りましょう。遠距離に暮らしている場合でも、電話番号などを調べて出来るだけ早く相談をしましょう。

病院に入院した場合

親が怪我や脳梗塞などの病気で入院し、退院後は今まで通りの生活ができそうにないという場合、まず病院の相談員と連絡を取りましょう。
病院の相談窓口では、退院後の患者の生活支援をしてくれます。退院後の一人暮らしが大変という事であれば、介護サービスにつないでくれたり、リハビリを継続する必要があれば、リハビリ専門病院につないでくれたりします。

最近は入院期間が短縮されてきており、入院とほぼ同時に退院後の生活、介護を考えなくてはならないケースが増えています。できるだけ早い段階で、いろいろなところにコンタクトを取っておくことをおすすめします。

要介護認定の流れ

「要介護認定」の申請を行うと、介護が必要な状態かどうか、また介護はどのくらい必要かを判定するために、市町村の職員が本人を訪問し聞き取り調査を行います。この聞き取り調査の際は、出来るだけ家族が立ち会うようにしましょう。


具体的には、認知症が進行しているか、生活環境や家族のサポートがあるか、入浴やトイレ、食事などは自分で出来るのかなど、ひとりでできる範囲に関してさまざまな質問があります。また申請をするに至った経緯を質問されることもあります(入院歴、病気歴など)。

骨折などの怪我や脳梗塞などの病気の場合は、判断が付きやすいことが多いですが、認知症の場合は本人が認めたがらないことも多く、普段は出来ないことも「できる」と答えてしまったりすることがあります。そのため、普段の生活を知っている家族が立ち会い、しっかりと現状を伝える必要があります。

この聞き取り調査のほかにもうひとつ、かかりつけ医師の意見書(主治医意見書)の作成を依頼しなくてはなりません。医師は現在の親の病歴や怪我の状態、認知症の程度、身体機能の衰えなどを医学的に判断した意見書を作成します。

介護度の重症度は、どこまで自分で出来るのか、人の手助けをどこまで必要とするのかを、認定調査と主治医の意見書を参考に、介護認定審査会の総合的な判断を経て、市町村が要介護度の認定を決定します。基本的には申請から通知までは、30日以内で行われることになっています。できるだけ早く申請を行いましょう。

介護保険サービスを利用する

要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)の通知が届くと、どういったサービスが受けられるのかが決まります。サービスを受けるためには各自の状況に添った利用計画を作成する必要があります。

利用計画は2つに分かれます。


要支援(介護予防プラン)

基本的には要支援の場合は「地域包括支援センター」が作成します。要支援の場合は提供できるサービスは、いかに要支援の状態を維持して、要介護にならないようにするかを目的としたサービスになります。


要介護(ケアプラン)

要介護の場合は、民間事業者である「居宅介護支援事業所」に所属する「ケアマネージャー」が作成します。介護度の度合いによってケアプランが作成され、必要なサービスを提供する各事業者に照会を行い、サービスの種類、内容、利用回数、時間、料金などをまとめ、利用者と家族に相談します。話がまとまれば、ここで介護サービスの利用が始まります。

要介護の場合は、在宅介護における家族の負担を軽減するために必要な介護サービスが選択できます。また施設入所サービスがありますが、これは最低限「要介護」であることが条件です。

親の介護問題を乗り越えるためには

親の介護問題で重要なのはお金、時間、情報の3点です。
家族はこの3点をよく考え、協力する必要があります。ケアプランは定期的に見直しが行われ、認定度によって利用できるサービスが違ってきます。在宅でより良い介護サービスが利用できるよう、家族はケアマネージャーに利用したいサービスを明確に伝え、ケアプランを作成してもらいましょう。

介護には終わりがないと言われます。介護が長引けば長引くほど、家族は自分の時間が拘束され、また費用がかさみます。できるだけ多くの情報を集め、家族も孤立することなくがんばり過ぎない介護を目指しましょう。そして在宅でのケアが困難になった場合は、施設介護という選択肢も無理のない介護といった点から有効だという事を、心に留めておきましょう。